海に眠るダイヤモンドの舞台となった軍艦島

日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」が面白い

ドラマを観るようになったのはここ数年のことです。

ひとり時間を渇望してやまなかった日々の楽しみはもっぱら夜活で、2021年の秋に金曜日のTBSドラマ「最愛」にのめり込み、見逃し配信アプリで繰り返し視聴したものです。

面白いドラマいっぱいあるんだね、と齢30も過ぎて妹に話したのを覚えています。10代20代、ドラマなんて見た記憶がないが、果たして何をしていたのだろうか。

動画に限らずエンタメのためのサブスク購入はしないと固く決めているし、自宅にWifi環境もないのでドラマは地上波しか見られるものがなく、基本的にはリアルタイムで視聴もしない。だからTVerだけが私とドラマをつなぐ唯一無二のインターフェース。

そんなお前が何を語りたがっているのかと、まったく信用ならないこと請け合いです。

さて。見てますか、日曜劇場。

「海に眠るダイヤモンド」です。TBS公式サイトのコピーはこうです。

10月スタート!日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』

日曜劇場初主演・神木隆之介!
脚本・野木亜紀子×監督・塚原あゆ子×プロデューサー・新井順子の強力チームで贈る!

昭和の高度経済成長期と現代を結ぶ70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント!

結構こういうのは頭に入ってこないというか、過去のドラマ・映画に関する引き出しがほぼないので、「壮大なヒューマンラブエンターテイメント!」っていわれてもなあとは思ったものの…

2018年の東京に生きる売れないホストと、1950年代に炭鉱業で栄えた端島(長崎県)で生きる青年という、2つの別人格を神木隆之介が演じ、過去と現代のそれぞれを交互に描くこのお話。70年の時間軸を行き来しながらストーリーは進む…マジェスティック〜〜〜〜!

戦争やキリスト教に関する史実も、端島で生活を営む人達の会話にのせて淀みなく発信されて情報量すんごい。島の話なので、海があるシーンも多くて美しい。

誰しもがコンテンツを作ったり、世に公開したりできる時代だけど、これがプロフェッショナルの作品なんですね。って思う暇もなく、口開けて見てたらあっという間に終わってしまいます。もう8話目くらいかなと錯覚するけどまだ4話です。TVerで今から追いつけます、急げ〜。

ちなみに、舞台となる端島の監修を務められた黒沢永紀さんのインタビューを公式サイトで読み、言葉が出ないのは私だけではないはずです。

(前略)取材中「端島が歩んできた歴史は、”未来の記憶”ではないかとよく思います」とふと口にした黒沢氏。これからの日本が体験するかもしれない未来を端島はすでに体験したのだという。

端島には都市機能が凝縮されており何でも揃っているが、島に水源や牧場、畑、田んぼがあるわけではなく、インフラや食料は島外のリソース頼り。そんな外部供給ありきの生活は、東京、ひいては大都市の構造に近いと言える。

「水道やガス、そして電気などすべてのライフラインが外部供給。これらがストップしたら、まったく生活ができなくなります。そういう意味では、約100年前に同じことを未来都市として経験していたのが端島なんです。」
端島炭鉱は資源が枯渇して閉山したわけではない。安全かつ利潤を生み出す採炭ができなくなっただけなのだ。

「まだまだ採掘できる石炭はありましたが、当時の技術開発状況や費用対効果など、さまざまな要因が重なり閉山が決まりました。悪く言えば、見捨てられたのかもしれません。でも、東京だって価値がなくなったら見捨てられて、都市機能が別のところへ移る可能性があります。人間ならそういう発想もしかねないでしょう。だからこそ、現代に生きる私たちが端島から学ぶことはたくさんあるんです」と、黒沢氏は端島と東京を重ね合わせる。(後略)
引用元:https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=20975

この課題感をドラマの全面に出すことなく一見して軽やかに、かつ時代を越える緻密で奥行きのあるストーリー設計を施して万人うけのヒューマンラブエンターテイメントに仕上げる制作陣の技術とセンス…

人間が作ってるものって素晴らしいと改めて思います。そして毎度ながら、これを書くお前誰うける…と思っております。

そんな具合で、30代になって生まれ直した私が最近入手したキーワードは、「アンナチュラル」「MIU404」、「脚本家・野木亜紀子さん」とかで、アマプラのお試し期間でそれぞれイッキ見しました。

そしてお試し期間が過ぎた今、動画サブスクを持たざる私ですから、それを繰り返し見ることは叶わない身なのですが、時代に5年10年と遅ればせながら、しっかりとそれらを引き出しにしまいこみまして、日曜劇場を楽しんでいる今です。

人生の全てはエンタメであり、エンタメは人生の全てであります。

さらにこれは私だけのスローガンであり、これを字でいくことを良しとするのが私です。