ミッケのウォルター・ウィックが語る小学館のイベントに参加した

メールボックスの整理ができない奴といえば私。未読メール18,900件越えのメールボックス内で先日、ふと目に止まった小学館の抽選イベントに応募したところ、当選のお知らせがきたので参加した。

内容はこうだ。「ウォルター・ウィックが語るチャレンジ ミッケ!のひみつ」。

「チャレンジ ミッケ!」と言えば、保育園、児童館、小児科、皮膚科など、子供が出現する場所には必ずと言っていいほど備え付けられている、児童の集中力発動絵本。

精巧なジオラマ写真の中から、隠れたアイテムを見つけるというわかりやすいルールで子供も大人も楽しめる絵本として人気を博している。今ではタブレットのゲームに夢中な小一息子も、かつてはそのシリーズを好んで読んでいた。ならばこの機会にその制作現場についても知ってみるのはおもしろい、何かの刺激になればいい。

そういう浅い興味というか、子供のクリエイティビティに火をつけろ!みたいな俗っぽい期待から参加を申し込んだので、息子サイドは直前まで参加を拒否していた。私サイドといえば、当選したからには行かねばならんのだという手前都合で、とにかく息子を引きずりなんとか会場に漕ぎ着けた。

私と息子のように親子で参加する者もあれば、ソロ参加の20代〜30代、中にはそれ以上と見受けられる大人たちもいて、募集はきっと小学館経由だけではないのだろう、どこでどういった経緯で参加の運びとなるのか、私ごときには分からない仕事の世界、趣味の世界があるもんだとしみじみオーディエンスを眺めた。

さて英語話者の作者、ウォルターと同時通訳の女性による講演が始まった。息子は冒頭から私のスマホでゲームに興じ(消音)、私はというと最初こそ聞いていたものの、途中から寝入って記憶がない。まったく当選させる価値の無い親子だった。作者がスライドに合わせて放った「Wake up!(起きろ)」の声で完全に目が覚める。絶対に私の方を見て言った、いや、他にも明らかに前傾姿勢で船を漕ぐママ、パパたちの後ろ姿も見てとれる、これはプレゼンの中で用意されたスクリプトだと言いき聞かせた。寝ていたのは私だけではないですよ…のポーズをする自分が心底不気味であった。

失礼すぎる参加態度の我々にも、ウォルターは話を続けた。初めて知ったのは、”シーモア”という小さなキャラクターが全てのページに隠れているということ。立体物で登場することもあれば、そのページやテーマに合わせた素材だったりサイズだったりで必ずどこかにいるのだと。これはミッケファン界隈ではおそらく常識。「青いサイコロが3つ。コウモリも4ひきいるね」といった、絵本内のテキストに合わせて作者が隠したオブジェクトのひとつ。パッケージ。包含。ただ、そういった演出のきっかけとなった話がおもしろい。読者の子供がある時、「全部のページに同じカエルがいるね」とウォルターに言ったという。作者自身はそんな意図全くなかった。そこからハッとして、「自分の愛着のあるキャラクターをどこかにまぎれ込ませたい」ということで、オリジナルのキャラクター”シーモア”が誕生。当時は三頭身ほどだった”シーモア”も、昨今は意図して五頭身ほどになっているという。成長。さらにこの名づけもいい、「See more」、よくみろ。

ミッケシリーズは、テーマに沿ったものや風景、空間をズームインしたりアウトしたりしながら、各ページのストーリーが構成されているが、その軸とは別に、シリーズ共通の「シーモア」が居たのだ。

多角的に見れば物語がぐんと深くなる。
深ければ深いほど、人間は覗きたくなる。まさにI SPY(ミッケ)。

ところで、カエルを見つけた子が特別というわけじゃなくて、こういう純粋な発見を子供はいつもしているんだよなあ、とも。心底楽しむ気持ちの上にたつアンテナは精度が高い。